2006年03月16日

スパイ・エンジェル グラマー美女軍団

TX-GUNS.gif

木曜洋画劇場(テレビ東京)

四方を海に囲まれた島国日本では、外来の文化を単純な翻訳という形でローカライズするだけでなく、独自の解釈を加えることで新たな付加価値を生みだすことが多々ある。

古くは漢字や仏教などをベースに日本的な改良を加えたり、幕末に鎖国が解かれて流入するヨーロッパの先進的な文化を翻訳したりしてきた。「郵便」という言葉は前島密が、「小説」は森鴎外が、「芸術」「科学」「哲学」は西周が、それぞれ西洋語から翻訳したと聞いたことがある。最近の感覚では例えば「インターネット」を中国語のように「電網」というのはちょっとしっくりこない。だが、外来の新しい概念を音訳せず、言葉を創って当てはめる当時の知識人たちの翻訳作業は、さぞかし興奮するものだったのではないだろうか。

例えば、カレーライスやラーメンはもともとインド料理や中華料理だったはずだが、僕らが日常的に食べているそれらは、オリジナルとはちょっと違う、日本式の食べ物になっている。「一風堂が上海に進出」という記事を何かで見たときは不思議な気持ちになったし、サントリーの烏龍茶が中国に輸出され、それを飲んだ中国人が「さすが日本人はうまい飲み物を作るなあ」と感心したという笑い話も聞いたことがある。

日本の得意分野といわれた製造業での加工貿易の拠点は海外に移ってしまったが、文化のフィールドでは日本人は相変わらず情報の加工を続けているのだ。

さて、小説や映画や音楽が輸入される際、文章は日本語に翻訳され、映像には字幕か吹き替えが加えられ、CDには歌詞の対訳がつけられる。それとは別に日本には「邦題」という文化がある。「原題」をカタカナに音訳するのではなく、意味として直訳するのでもなく、まったく別のタイトルをつけなおすのだ。「邦題」によって作品には、作者の意図とは全く別のところで価値が生まれる。

邦題(ウィキペディア)
邦題考(wad's)

そんな訳で『スパイ・エンジェル グラマー美女軍団』が、今度の木曜洋画劇場で放映される。原題は“Guns”だが、音訳の「ガンズ」というタイトルではあまりおもしろそうじゃないし、見過ごされてしまうかもしれない。「スパイ・エンジェル」という秘められた隠微さを匂わせるタイトルに、「グラマー美女軍団」という刺激的な副題でトドメを刺すことで、この作品に新たな価値が創造されたのだ。

内容的に弱い映画にこういった邦題をつける山師的な仕掛けには、ときにヤケクソ感がチラつくこともある。だが、いかにも確信犯的につけられた悪ノリ的なタイトルであっても、そこに反応してしまう人々が少なからずいるのだ。

【ビデオ】木曜洋画劇場のCM 春の新作【廃盤】(geek laboratory)
※確信犯的な予告CMの画像も。むしろ予告でおなかいっぱいって感じもする。

邦題「スパイエンジェル」について、教えて下さい。(OKWave)
※ここで語られている「スパイエンジェル」の原題は“Fit to Kill”とのことなので、今回の木曜洋画劇場の作品とはまた別なのか。シリーズ物らしい。

→主人公の秘密捜査官ドナを演じる女優ドナ・スペア(役者の名前=役名というのがまた安っぽくていい)の出演する作品群はこちら!(Amazon.com)


来週23日の木曜洋画劇場は「沈黙の断崖」。
posted by 犬TV at 10:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 観る
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