2006年04月16日

反国王デモの続くネパール

反国王デモの続くネパール

※現状に至る大まかな流れは、ウィキペディア外務省の情報のほか、「ネパールの混乱」(新聞、小説、マンガの感想その他もろもろ雑記 2006/04/10)などを参照。

2001年に王族10名が犠牲となったディベンドラ皇太子の銃乱射事件は日本でもけっこう大きく報道された。ここ数日の大規模な抗議行動の発端をさかのぼっていくと、この事件に突き当たる。

事件の後に即位したギャレンドラ国王は、議会を停止した。これを機に以前から反政府活動を行っていたネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)との争いが激化し、国内は混乱状態に。そんなニュースを見ながら、ネパールという国ののんびりして穏やかなイメージが変わっていくように感じていたのを覚えている。

昨年2005年2月1日に国王はさらなる行動を起こす。
首相を解任して議会・内閣を停止、政党指導者等の拘束、緊急事態令を発令し君主制を導入した。また、基本的人権や報道、通信に制限がかけられる。1990年に確立された立憲君主制の下での国王によるクーデターだった。

当時の状況について、現地の日本人ジャーナリスト小倉清子氏による2月1日からの1週間のレポート(アジアプレスネットワークβ版)は必読だろう。
国王のテレビ演説の後、電話やインターネットなどの通信が遮断され、報道に検閲がかかり、政治活動家やジャーナリストが監禁されたり逮捕されたりするという最悪の状況下、BBCの短波でのネパール語放送が情報源となっていたようだ。こんな状況の中でもBBCは、反国王の立場の政治家たちのインタビューを入手して放送している。
小倉氏のアジアプレスネットワークでのレポートは7月29日まで全28回に渡り続く。小倉氏のブログ“Kathmandu Journal”は、2005年9月から今日まで頻繁に更新されている。

国王のクーデターに伴う報道機関の検閲については、カトマンズの週刊紙Nepali Timesの編集長・発行者クンダ・ディクシット氏のコラムを日本語で読むことができる→自由の抑圧 ネパールを二つの過激主義に分裂(日刊ベリタ 2005/02/15)。ニュースや社説のページを白紙のまま発行した新聞や雑誌もあったという。ネパールには多くのラジオ局があり、その一部はウェブサイトを通じて音声データを配信しているが(→SEARCH A RADIO STATION : Nepal from COMFM)、国王の行動後は時事問題について放送することを禁じられた。→苦境に立たされるネパールメディア(JANJAN 2005/04/11)

今のところ国王はなんとか権力を掌握しているようだが、クーデターが成功したとは言いがたい。今年2月に行われた地方選挙は失敗に終わり、今月6日からはゼネストが続いている状態だ。外出禁止令を無視して行われる抗議デモの様子は、最大発行部数を誇る日刊紙eKantipur.comのサイトに掲載され、日々更新されている。また、このサイトの最上部には“This portal was visited by 160,000 Visitors with 10 million hits on April 3rd, 2006”と書かれている。

ネパール トレッキング情報というサイトにある、メディア関連のリンク集を見ると、閉鎖されていたサイトや停まっていた放送が再開したという記述も見られる。

国王の最初の行動は計画的だったんだろうし、報道や通信を押さえるというのもクーデターとしては間違っていない。だが一度は民主化され、ジャーナリストが自由に報道し、通信網も整備された状況から、それを取り上げるという強引なやり方は時間とともにほころび始めた。国際的にも支持を得ることができず追い詰められた国王は、次にどのような行動に出るのだろうか。デモがこれ以上長引けば、事態はより混乱し泥沼化していく可能性もある。


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その他ブログ
PHALANO.com
※a ‘photoblog’ in collaboration with eKantipur.com
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メディア:
Nepalnews.com
※ニュースのアーカイブ from Nepal Television。英語もある。
Radio Nepal
※国営ラジオ局。英語ニュースもある。
Radio Dovaan - Washington DC Based Nepali Community Radio

日本語ニュース:
Yahoo!ニュース - ネパール
MSN-Mainich INTERACTIVE ネパール

関連記事:
ネパール 君主国(モナキー)における無政府状態(アナキー) クンダ・ディクシット(日刊ベリタ 2006/04/15)
ネパール 毛派指導者“メディア戦略” 王政に陰り、存在誇示(産経新聞 2006/02/15 via Yahoo!ニュース)
BBC Counry Profile


posted by 犬TV at 15:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 放送 - アジア
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