Democratic Voice of Burma: Major News Source for Burma
「ビルマ民主主義の声(DVB)」はミャンマーの反政府放送で、ノルウェーを拠点に短波放送を行っている(母体となる亡命政府
「ビルマ連邦国民連合政府」の本拠地はアメリカ・メリーランド州のロックヴィル)。上記サイトからは、ビルマ語による最新の番組内容を各種音声フォーマットで聞くことができる。時間は約1時間。その他、サイトに掲載されるニュースのテキストは主要な少数民族語でも書かれ、ムービーでの情報も豊富だ。
独裁的な軍事政権下、公式なメディアから出る情報が選別されている一方で、反体制メディアDVBの発信する情報は信頼度が高い(→※1)。軍事政権側の人々も、情報の正確さからこの放送を情報源としているといわれ、そのためか政府による妨害電波が最近停止したことが確認されている(→※2)。
政府管轄の地元メディアでは
MRTV-3がサイトを開設していて、ストリーミングも行っている。MRTV-3は衛星放送もやっているらしく、政府広報&ニュースみたいな英語のムービーをちょっと見たが、ラジオのライブは聞こえなかった。夜中だから?
国境なき記者団による
“World Press Freedom Index”の2005年版で、ミャンマー(ビルマ)はワースト5にランクされている(→※3)。マスメディアどころか私信や電話までもがチェックされているという話もあり、ミャンマー政府による情報の管理は厳しいようだ。インターネットの普及も近隣国と比べて進んでおらず、アクセス制限がかかっている(→※4)。
抑圧された情報環境の中で、Democratic Voice of Burmaの誕生は必然的だったように思える(→※5)。BBCやVOA、RFAといった海外メディアも短波でのビルマ語放送を行っているが、DVBが「当事者による外からの放送」であることは重要だ。それは初め、管理外情報を流入させる非公式メディアとしてジャミングにさらされていた。しかし結果的にもっともアテになる情報源だということが知れ渡ると、政府は妨害電波を止めてしまったのだ。
自前メディアの統制や情報インフラ整備の遅れの反動だろうか、ミャンマー市民の情報を求める欲望は、衛星テレビの普及を加速させた(→※6)。需要が大きいこともあって、その環境は意外と安くに手に入る。検閲されていないBBCやCNNの受信には規制もないようだ。国際交流基金による
「日本語教育国別情報」国別一覧《ミャンマー》(2004年度版)を見ると、ミャンマーでは公的な外国語教育が積極的に行われているとはいえない。しかし衛星放送の普及からすると、英語理解力は案外高いのではないだろうか(1948年まで英連邦だったことも関連しているかもしれない)。
ミャンマーの家庭に備わったチューナーを狙って、DVBは衛星テレビ放送を始める(→※7)。メディア環境が良いとはいえないミャンマーだが、北朝鮮のような完全シャットアウト状態とは状況が違う。検閲の逆にあるジャミングの停止や衛星放送の普及は、自己矛盾や独特のスキを感じさせる。このような出来事が少しずつ積み重ねられた末に堤防が決壊することがあれば、インターネットももの凄い勢いで普及していくのだろう。
注釈&参考サイト